広島県議会 外国人材の受入れ促進と多文化共生に関する答弁 — 2025年9月

自治体:広島県
議会・日程:令和7年9月定例会(第2日) 09月18日
出典URL:https://www.pref.hiroshima.dbsr.jp/index.php/4991538?Template=document&VoiceType=all&DocumentID=2149#one(広島県議会議事録の検索と閲覧)

キーワード:外国人材受入れ、多文化共生、育成就労制度、転籍要件、地域日本語教室、外国人定着支援、共生社会、人手不足対策、外国人コミュニティー、相互理解

要約
※以下はAIによる要約です。正確な内容は出典元の議事録をご確認ください。
広島県は、外国人労働者が年々増加する中、外国人住民と地域住民の双方が安心して暮らせる共生社会の構築が重要との方針を示した。地域日本語教室の拡充や橋渡し人材の育成、外国人コミュニティー支援のほか、育成就労制度の転籍要件緩和を見据えた定着支援を強化し、「外国人労働者から選ばれる広島県」の実現を目指すとした。

引用全文

※以下は議事録の引用全文です。本文の著作権は広島県に帰属します。著作権法上の引用および公共データ利用規約に基づき掲載しています。要約はAIにより生成したものであり、正確な内容は出典元の議事録をご確認ください。

◯窪田泰久君 皆さん、おはようございます。自民議連の窪田泰久です。

今次定例会におきまして、質問の機会を与えていただきました中本議長をはじめ、山下副議長、先輩、同僚各議員に心から感謝を申し上げます。

湯崎知事におかれましては、4期16年の最後の定例会となりました。まずは、そのリーダーシップと実行力に、長きにわたり広島県政を担ってこられたことに敬意と感謝を表するところであります。個人的なことを申し上げますと、私は、湯崎知事が初当選された平成21年11月8日の知事選挙の同日に開催された広島県議会広島市南区補欠選挙で初当選し、湯崎知事と同じく、同年12月定例会で初めて本会議に出席したことを昨日のことのように思います。本日は、湯崎県政の16年を振り返りながら今後の広島県について考えていきたいと思いますので、湯崎知事をはじめ、執行部の皆様には明快な答弁を期待して、質問を始めたいと思います。

質問の第1は、湯崎県政16年間の総括についてお伺いします。

湯崎知事が初当選された平成21年当時の状況を思い起こすと、資本主義経済を大きく揺るがしたリーマンショックの影響により、実質GDPが前期比10%以上の大幅な下落を見せ、国内では電機や自動車などの輸出企業の業績に大きな影を落とし、大手企業の人員削減などにより雇用不安を引き起こしました。アメリカでは、20世紀の産業界をリードしてきたクライスラー、ゼネラルモーターズといった巨大企業が相次いで経営破綻に至るなど、非常に重苦しい空気が世界中を覆っていた時期でありました。

こうした中、湯崎知事は、当選後初めてとなった平成21年12月の本会議の冒頭の提案理由説明において、5つの挑戦を掲げて県政運営をスタートしました。

まず、最初に挙げたのは、あらゆる分野での力の源泉であり、広島県が発展の道を歩むための人づくりへの挑戦でした。第2には、広島県民が物心両面で豊かで安心できる暮らしを続けていくための新たな経済成長への挑戦の重要性を説かれました。続いて、行政の究極の目標の一つとして、安心・安全な暮らしを実現するための安心な暮らしづくりへの挑戦を、さらには、地域の多様性の中から新たな活力を生む努力が求められる中で、豊かな地域づくりと真の地域主権の確立への挑戦を掲げられました。そして5つめの挑戦として、山積する課題に立ち向かっていくために、広島県庁が起業家精神を持ち、創意工夫を行っていくことが何より大事であるということから、行政運営刷新への挑戦を掲げました。こうした挑戦によって、人づくりの分野では、叡智学園や叡啓大学の開校、リスキリングや人的資本経営の促進など、幅広い世代の人材育成が進み、ひろしまイノベーション推進機構の設立や「瀬戸内 海の道構想」の策定、また、それに続く観光関連の諸施策などによって新たな経済成長の胎動も感じられます。

また、がん対策日本一に向けた取組として、高精度放射線治療センターの設置、あるいは、救急医療体制の強化に向けたドクターヘリの導入による医療提供体制の確保などの安心な暮らしづくりも大きな進展がありました。

さらには、中山間地域振興条例の制定やサッカースタジアムの整備、あるいは全国知事会地方分権推進特別委員会の委員長として、地方分権の推進に取り組むなど豊かな地域づくりと真の地域主権の確立も着実な歩みを見せ、目標管理・評価システムの導入、管理職員への実質的年俸制の導入など行政運営刷新への挑戦の進展もありました。

その一方で、今後、対応が求められる課題が残されていることも事実です。

足元の課題として申し上げますと、米国の関税措置による影響を受ける県内産業や、苦境に立たされる中小企業への支援をどうやっていくべきか、激甚化・頻発化する自然災害に備えた県土強靱化をどう進めていくのか、社会減、自然減ともに大きな課題となる人口減少にどう対処していくのか、外国人や障害者といった方々を含む多様性豊かな共存社会をどのように実現していくのか、県全域で、質が高く、持続可能な医療提供体制をどのように構築していくのか、そして、急速な進化を見せるAIをはじめとするデジタル化の波にどう乗っていくのか。ほんの一握りではありますが、こうして振り返ってみると、少子高齢化や東京一極集中、デジタル化の波といった大きな時代のうねりの中にあって、確たる志と覚悟をもって広島県のリーダーとして邁進された16年間だったのではないかと拝察いたします。

そこで、湯崎県政16年を振り返り、どう総括するのか、知事の御所見をお伺いします。

質問の第2に、人口減少に対する課題認識と対策についてお伺いします。

今年の7月、本県の推計人口が48年ぶりに270万人を下回ったとの統計結果を県が発表しました。今さらながらに申し上げるまでもありませんが、人口減少は県が最も重視していくべき課題だと考えております。

我が国の人口動態の変遷を振り返ると、明治維新が起きた1868年には3,300万人余りであった総人口は、その後急速な増加を果たし、大戦中の1941年からは産めよ、増やせよの大号令の下で、さらなる増加を見せることになります。さらに、第2次世界大戦後には、医療提供体制の発達も相まって、2次にわたるベビーブームを経て、さらに飛躍的な増加を遂げることとなりました。しかしながら、それに続く第3次のベビーブームは起こりませんでした。

団塊ジュニア世代に近しい私も、責任の一端を感じるところでありますが、就職氷河期や非正規雇用者の増加やバブル崩壊後の経済の低迷など、特に若年層の雇用や経済的な側面の安定性が損なわれていた時期と重なることは無視できない事実だと思います。

広島県では、ここ数年、若者を中心とした転出超過がクローズアップされ、今年度から若者減少対策に係る取組を抜本的にてこ入れして進めている状況でありますが、県全体の人口減少は、社会減少もさることながら、とりわけコロナ禍を境に急激に進みつつある合計特殊出生率や出生数の低下による自然減こそが大きな課題であると考えております。実際に、本県人口は昨年1年間で約2万3,000人減少しておりますが、その内訳を見ると、社会減は約1割の2,700人ほどで、残りの9割、約2万人が自然減によるものとなっています。

1人の女性が生涯を通じて出産する子供の数である合計特殊出生率は、広島県では、全国平均を上回る1.29となっていますが、人口減少を食い止めるために必要といわれる人口置換水準は、2.07であります。つまり、合計特殊出生率を人口置換水準まで引き上げなければ、いつまでも人口減少が続くわけであり、最も重要なのは、人口が減っていることではなく、極めて急激なペースで減少しそれが収まる気配がないことが、問題なのであります。

このような話をすると、戦時政策への忌避感から、人口減少という課題に対して議論をすること自体がタブー視されることもありますが、現実の問題として人口減少が進むことで、地域から商店がなくなり、学校がなくなり、バスやタクシーといった公共交通がなくなり、そして集落自体が維持できなくなるということは明白であります。このことはつまり、単純に人が住まなくなるというだけでなく、そこに住む人々が長年培ってきた、伝統や文化が途絶えてしまうということです。本当にそれでよいのでしょうか。

県は、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」の見直しを行っているところでありますが、急速に進む社会減や自然減の状況を踏まえ、今こそ人口減少に対して正面から向き合っていく必要があると考えるのであります。

そこで、人口減少に対する課題をどう認識しているのか、また、ビジョンの見直しを見据え、この課題にどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。

質問の第3は、高度医療・人材育成拠点構想に係る基本計画の見直し等についてお伺いします。

県では昨年度から、建築単価の上昇等を受けて、高度医療・人材育成拠点構想に係る基本計画の見直しを進めているところであり、先日の生活福祉保健委員会で、基本計画の見直しの方向性が示されたところであります。

基本計画の見直しに際して様々な課題が山積する中にあっても、見直し後の病床数や施設・設備で新病院が目指す医療体系が実現できるのか、見直し後の収支計画は持続可能な病院経営が可能なものとなっているのか、という2つの観点からの議論が必要だと思います。

まず、病床数について、開院時は860床程度による運用を想定し、1,000床程度までの拡張性を持った構造とすることで、医療需要や医療提供体制の変化に柔軟に対応することとする案が示されました。これまで我が会派からは、1,000床規模の病床稼働の必要性などについて意見を申し上げてきたところでありますが、病床数を1割以上減らすことで、新病院が目指す医療提供ができなければ、本末転倒であり、その点については、県民にしっかりと説明する必要があると考えております。

また、収支計画の見直しという観点では、折からの物価高騰や人件費の上昇に伴い、建築単価が大幅に上昇したことを踏まえ、建設計画の大幅な見直しにより、従来とほぼ同等の概算事業費とするとともに、新病院開院後の収支計画については、従来と比べて大きな変動がない案が示され、年度ごとの県の実質負担は、8億5,000万円で維持されています。

先月、全国自治体病院協議会が公表した調査結果によりますと、令和6年度決算において、全国の医療機関の実に86%が経常損失、つまり赤字を計上し、その中でも、400床以上の大規模病院では94%が赤字とのことでした。高度急性期などの政策医療分野は、従来から収益確保が難しいということは言われていましたが、それに輪をかけて、病院経営に大きな影響を与える給与費や材料費の上昇が収支を圧迫していることが推測され、県の病院事業会計を見ても、平成25年から令和5年にかけて、給与費が24%、材料費は46%増加している状況であります。

執行部の皆さんにとっては耳の痛い話かもしれませんが、病院事業会計の決算見通しの悪化による一般会計からの25億円もの長期貸付けや、令和5年度の決算報告資料の誤りなど、病院経営に係る収支管理の甘さが露呈している中で、これまで以上に堅実に収支見通しを検討していただきたいと思うところであります。

こうした状況を鑑みると、高度医療の提供や医療人材の育成、中山間地域への派遣という目指す理念を実現するための土台となる新病院の経営を確固たるものとするため、様々なリスクを織り込み、より厳しい目線で収支計画を見直すとともに、その妥当性や実現可能性について、県民に対してきちんと説明していく必要があると考えます。

あわせて、現在の県立広島病院の跡地活用について、県では、地域懇話会の開催やアンケートの実施により地元住民の意見を取り込みながら、令和5年9月に跡地活用の方向性を取りまとめました。その中では、必要な医療、介護、福祉サービスを受けることができる体制を整えるという方向性が示されましたが、その後、具体的な進展は見られず、移転先の新病院建設の議論が進む中で、地域住民の方々の不安を払拭するためにも、跡地活用の検討を加速させ、具体的な絵姿を早期に示す必要があるのではないでしょうか。

そこで、現在見直しを進められている高度医療・人材育成拠点構想に係る基本計画について、新病院が目指す理念の実現と持続可能な病院経営が本当に両立できるのか、知事の御所見をお伺いします。

また、現在の県立広島病院の跡地活用について、具体的な絵姿を早期に打ち出すべく、速やかに検討を進める必要があると考えておりますが、併せて知事の御所見をお伺いします。

質問の第4は、米国の関税措置を踏まえたものづくり産業への支援の在り方についてお伺いします。

米国との関税措置に関する交渉については、度重なる交渉の結果、7月23日に両国で合意に至ったとの報道がありましたが、8月7日に発効された大統領令では、相互関税については既存税率に15%を上乗せ、また、自動車等に係る税率については既存税率を含めて27.5%に据え置かれることが判明しました。その後、日米両政府の調整により、去る9月5日には、改めて当初の日米両政府の合意のとおり、相互関税や自動車等に係る個別品目について、既存税率を含め15%の関税が適用されることとなりました。

このような米国の関税措置は、日本をはじめとする輸出国に対する影響があるだけではなく、米国自身にとっても、基軸通貨としてのドルへの信頼の低下を招き、トランプ大統領が掲げる米国を再び偉大な国とするという目標に逆行するようにも見受けられますが、我々は、現実問題として、地域経済にどのような影響が出ているかということをしっかりと見定め、適切に対処していかなければなりません。

マツダは、2026年3月期の連結純利益の決算予想を前年比8割減とする厳しい見通しを示し、7月の国内生産台数は、前年比で約28%も減少したとの報道もありました。また、半導体への課税についても、トランプ大統領は、100%の関税を課すことを表明しており、その結果いかんによっては、県内産業への影響が出てくる可能性もあります。今後、米国の関税措置によって企業の利益が大きく損なわれた場合、企業としては、米国への生産拠点の移転や県内事業所に対する投資の縮小という選択肢を考えることもあるかもしれません。そうなると、製造拠点の空洞化が進み、雇用が失われるおそれもあります。

市場原理に基づく企業の経営判断は、時として残酷と言えるほどドラスティックで唐突なものであるということは、我々は、身をもって経験しているはずであります。まだ、その影響を測りかねる状況であることは十分承知しておりますが、グローバル経済の先頭を走ってきた大国によって、世界の自由貿易のありようそのものが書き換えられようとしている今、今後起こり得る様々な状況を想定しながら、本県経済を支えるものづくり産業への支援の在り方を先手先手で検討すべきではないでしょうか。

そこで、米国の関税措置を踏まえて、本県のものづくり産業に対して、今後どのように支援していくのか、知事の御所見をお伺いします。

質問の第5は、賃金と物価の好循環と持続可能な経営を両立させるための中小企業への支援について、お伺いします。

ここ数年来の物価上昇はとどまる気配がなく、また、人手不足も深刻になっており、中小企業白書によると、2024年1年間の中小企業の倒産件数は、全国で1万6件と、11年ぶりに1万件を超える水準となりました。物価高や人手不足の影響は、倒産の要因からも読み解くことができ、求人難などによる人手不足関連倒産は全国で前年の2倍近い289件となり、物価高による倒産も直近3年の中で最も多い698件となっています。

こうした状況に加え、最低賃金の大幅な引上げが見込まれています。毎年、最低賃金の改定額の目安を検討している国の中央最低賃金審議会の答申では、2002年以降で上昇額、上昇率ともに過去最高の63円の引上げとなり、この答申を受け、本県では、11月から最低賃金が65円上昇し、1,085円となる予定です。

政府では、2020年代のうちに時給1,500円を達成することを目標としており、これによって、賃金と物価の好循環の実現に向けたサイクルの構築が期待されますが、一部の地域においては、過当競争とも言える状況が見られます。例えば、今年度、最低賃金が全国ワーストであった秋田県では、国の答申を大幅に上回る80円の大幅な引上げを行い、昨年度も、当時全国ワースト2位の徳島県において、過去最大の84円の引上げを行ったことが話題を呼びました。

とりわけ中小企業では、企業の付加価値に占める人件費の割合を表す労働分配率が大企業に比べて相対的に高く、また、最低賃金に近い報酬で働く労働者の割合も多いことから、最低賃金の引上げの影響を大きく受けることになります。実際に、国の調査によると、従業員30人未満の企業において、昨年の最低賃金改定後に最低賃金を下回ってしまった労働者の割合は23.2%に達しており、約4人に1人が最低賃金に近い水準で働いていることとなります。

県内中小企業が物価上昇に負けない賃上げを実現しながら、経営の持続可能性を高めていくためには、中小企業の経営状況をつぶさに把握し、状況に応じた支援を行うことが必要ではないでしょうか。

そこで、賃金と物価の好循環の構築と持続可能な経営の両立を図るため、物価高や人手不足に加えて、最低賃金の大幅な引上げの影響を受ける中小企業をどのように支援していくのか、知事の御所見をお伺いします。

質問の第6は、外国人材の受入れ促進についてお伺いします。

先の参院選でも大きな議論となりましたが、近年我が国では、少子高齢化による人手不足を背景に、外国人の受入れ強化を進めてきました。

しかしながら、言語や文化が異なる外国人が増加する中で、様々な地域で外国人と地域住民のトラブルなどが起こっていることも事実です。

例えば、埼玉県川口市のクルド人が多く暮らす地域では、文化や生活習慣の違いからごみ出しルールや騒音をめぐって他の住民との摩擦が生じ、市議会が外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書を採択しました。また、一昨年の7月には、クルド人同士のいさかいから川口市内の病院周辺に約100人のクルド人が集まり、数時間にわたり救急搬送の受入れが停止するという騒動もありました。

言葉による十分なコミュニケーションがままならず、また、文化や習慣も全く異なる外国人の方々が地域社会の一員として地域とのつながりを深めながら安心して生活してもらうためには、今まで以上に取組を強化していく必要があります。

一方で、深刻化する人手不足対策という観点からは、女性活躍の促進や就職氷河期世代への支援の強化などとともに、外国人材の受入れをさらに推し進めていく必要があろうかと思いますが、今後、国内外での競争が激しくなっていくことが考えられます。例えば、令和9年から開始を予定している育成就労制度では、1年ないしは2年間の勤務など、一定の条件を満たすことで、現行の技能実習制度では原則不可とされてきた転籍が可能になります。

つまり、一旦広島で育成就労を開始したとしても、1、2年たつと賃金水準が高い地域へ移ってしまうおそれがあるのです。現に、令和4年における技能実習から特定技能1号に移行する際の都道府県間の居住地の異動状況を見ると、広島県の転出者数は全国で3番目に多く、高い賃金を求めて外国人労働者が移住していることが見て取れます。

また、海外に目を向けると隣国の韓国や台湾で外国人材の受入れ促進に係る取組を強力に進めており、韓国企業に500円も高い時給を提示され、県内企業が内定者に辞退されるなど、他国においては囲い込みとも言えるやり方で外国人労働者を受け入れている事例もあると聞きます。

外国人材の受入れに係る競争が激しさを増す中で、外国人と他の住民双方が安心して暮らせる地域社会の構築を前提として、就業環境と生活環境の向上に向けた取組を強化していくことで、外国人材から選ばれる広島県をつくっていく必要があるというふうに思います。

そこで、県内各地で外国人住民が増加していく中で、外国人と他の住民の双方が安心して暮らせる地域づくりの必要性をどう考えているのか、その上で、外国人材の受入れを促進していくためにどう取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。

質問の第7は、手話言語条例と情報コミュニケーションに関する条例についてお伺いします。

これまで、我が会派の三好議員がこれらの条例の制定等について、重ねてその必要性等を指摘してきたところでありますが、関係団体等との調整を重ね、今次定例会に手話言語と情報コミュニケーションに関する条例案が提出されるに至ったことについて、執行部の皆様方に敬意を表するところであります。

今年の6月には、国会において、手話に関する施策の推進に関する法律が制定され、この11月にはデフリンピックが開催されることから、こうした流れの中で、障害に対する理解が深まることに対する関係者の方々の期待も高まっているものと思います。

しかしながら、手話言語や障害者の情報アクセシビリティーに対する一般の方々の理解や認知の状況は、まだまだ十分と言える状況ではありません。

例えば、障害者差別解消法では、民間事業者に対しても合理的配慮を的確に行うための環境整備として、JIS規格に準拠したウェブアクセシビリティーの確保が推奨されていますが、総務省の調査によると、自社のホームページでこの規格を満たしていると回答した企業は僅か5.4%にとどまります。また、東京都が令和5年度に行った調査によると、障害者情報アクセシビリティーに関する法律について、名前も内容も知らなかったと答えた方は88.7%という状況でありました。

また、手話については、認知度こそ高いものの、手話を使う機会のない県民が手話を習得する機会はほとんどないと言ってよい状況ではないかと思います。ハローと言えば、ほとんどの方が英語でこんにちはという意味であることは分かると思うのですが、手話でこんにちはが分かる方が、どれだけおられるでしょうか。

今次定例会では、手話や障害者の情報コミュニケーション施策の推進に係る県民への普及啓発を行うための補正予算が計上されていますが、デフリンピックの開催などを好機として、様々な情報発信をしていくべきと考えます。

そこで、手話や障害特性に応じた意思疎通に関する認知や理解が十分に進んでいない理由はどこにあるのか、また、国の法律や手話言語及び情報コミュニケーションに係る条例制定を踏まえて、県民にどのような行動変容を期待するのか、知事の御所見をお伺いします。

質問の第8は、大規模災害に備えた県土強靱化についてお伺いします。

カムチャツカ半島を襲ったマグニチュード8.8の巨大地震では、太平洋側を中心とした日本沿岸の広範囲に津波警報や津波注意報が発表され、一部地域で津波の到達を観測し、また、鹿児島や熊本では、大雨特別警報が発表され、大きな被害をもたらしました。

振り返ってみると、湯崎知事の4期16年の県政運営は、自然災害との闘いでもありました。就任して翌年の平成22年には、庄原市をはじめ県内の様々な地域で豪雨による災害が発生し、平成26年には、広島市安佐南区や安佐北区で局地的な集中豪雨による大規模な土砂災害が発生しました。そして、平成30年には、県内で153名もの貴い命が失われた平成30年7月豪雨災害がありました。

本県ではこうした災害の被害を教訓とし、社会資本未来プランに基づき、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策の充実・強化に取り組んでおりますが、この取組を進める推進力は、自然災害の脅威を肌で感じた経験とそれに基づく危機意識であり、誰よりもそれを感じているのはこれまで何度も災害対応の陣頭指揮をとられた湯崎知事にほかならないのではないでしょうか。こうした意味では、知事が替わられたとしても、しっかりとその危機感を引き継いでいく必要があると考えるのであります。

本県でも今まさに、地震被害想定の見直し作業を行っているところでありますが、南海トラフ地震も眼前の危機であり、これまで繰り返し言われてきたとおり、緊急輸送道路の機能強化や住宅の耐震化など、地震に対する備えも着実に進める必要があります。特に、広域緊急輸送道路の沿道の建築物については、平成28年に策定した第2期広島県耐震改修促進計画において、その所有者に耐震診断の義務づけを行い、市町と連携した耐震改修等の工事に対する補助制度の創設によって取組を進めてきたところでありますが、所有者の自己負担が大きいことなどから制度の活用が伸び悩み、結果として昨年度末までに対象の約40%が耐震化を行うにとどまってしまっております。

さらに、これらの対策を進めて行く上では、近年の物価上昇を踏まえた財源確保が必要であることは言うまでもありません。先月、日本建設業連合会が公表した資料によると、2021年1月当時と比較して、建設資材の高騰や労務費の上昇により、土木分野では27%から31%、建築分野では25%から28%も建設コストが増加している状況があり、国土交通省の令和8年度概算要求では、労務費確保の必要性や近年の資材価格の影響等を考慮した公共事業等の実施に必要な経費について、具体的な金額を示さない事項要求として、予算編成過程で検討することとされています。

本県でも、社会資本未来プランや地震被害想定、強靱化地域計画の見直しを着実に進めるとともに、その結果を踏まえ、資材や労務費の高騰を見込んだ十分な財源を確保しながら、ハード・ソフト両面からの継続的な視点を持った県土強靱化を進めていく必要があるのではないでしょうか。

そこで、本県における県土強靱化の現状をどのように認識しているのか、また、激甚化・頻発化する自然災害や来る南海トラフ地震から県民の生命や財産を守るために、予算確保を含めて県土強靱化をどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。

質問の第9は、労働力人口の減少を補完するAIなどのデジタル技術の活用についてお伺いいたします。

我々人類は、これまで長い歴史の中で、産業革命と呼ばれる過程を何度か経験してきました。最初の産業革命は、18世紀のイギリスで始まった綿工業における機械制工場と蒸気力の利用を中心とした技術革新でした。それに続き、19世紀後半のアメリカやドイツにおいて電力や石油の登場による第2次産業革命が起こり、第3次産業革命では、コンピューターの登場による革新的な生産性向上がありました。これらの過程では、馬車が数年で自動車に取って代わったように、あるいは、コンピューターの導入など、従前では考えられないような生産性の向上を成し遂げるに至ったわけであります。

そして、21世紀に突入してからは、AIやIoTの活用によって、より高度な知的活動の自動化が実現する第4次産業革命のフェーズを迎えたと言われております。第4次産業革命においても、これまでの産業革命で起こったような劇的な生産性向上や労働力人口の減少を補填する効果が期待されており、広島県においては、他県に先駆けて、DX推進本部の設置をはじめとする様々な取組を進め、昨年9月には「AIで未来を切り開く」ひろしま宣言を行いました。

経済学者の中には、AIは労働者の生産性に対して僅かな改善効果しかもたらさない、という懐疑的な意見を示す方もおられますし、何よりデジタル分野への投資が進む中で、暮らしの中で大きく恩恵を受けている実感があまりないようにも感じられます。そうした中で、AIをはじめとするデジタル分野に対し、半ば妄信的とも言えるように投資をしていくことに対して、危うさを感じることがあるのも確かであり、AI活用による労働力の補完性に対する見極めや将来的な投資効果も鑑み、本県におけるAIなどのデジタル技術との向き合い方を考えていく必要があります。AIをはじめとするデジタル技術の可能性を感じるがゆえに、あえて疑問を呈することで、その可能性を問い直したいと考えるのであります。

そこで、今後も生産年齢人口の減少が進む中で、AIなどのデジタル技術の実装による生産性の向上は、労働力の減少を補完する存在となるのか、また、県として、AIなどのデジタル技術の進化にどう対峙していくのか、知事の御所見をお伺いします。

以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯知事(湯崎英彦君) まず、16年にわたる県政運営の総括についてお答え申し上げます。

16年の総括ですので、多少長くなることをお許しいただければと思います。

私が就任した当初は、リーマンショックの影響を受けた世界的大不況の中、本県経済も大きな落ち込みを見せており、加えて、本格的な人口減少・少子高齢化が進む時代に直面し、将来を見据えて変革に挑戦しなければ、社会経済状況のさらなる悪化が見込まれる岐路に立っていたものと考えております。このような状況に危機感を持ち、どうにか打破したいと考え、広島県の底力を引き出すため、新たな経済成長、人づくり、安心な暮らしづくり、豊かな地域づくりを含む5つの挑戦を初めての選挙で掲げ、就任後、これらを反映したひろしま未来チャレンジビジョンを策定いたしました。

これら4つの分野を相互に連関させ、相乗効果と好循環の流れをつくるという基本的考えに基づいて、様々な施策に取り組み、さらに、令和3年度からは、新たに策定した「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に基づき、県民の皆様一人一人が安心と誇りを持ち、挑戦できる社会の実現に向けて、県民の皆様の様々な挑戦を後押ししてまいりました。

また、行政運営におきましては、職員が高いパフォーマンスを発揮しながら、成果を生み出していくことのできる日本一強い県庁にするため、県民起点、現場主義、予算志向から成果志向への転換の3つの視座を基本とした県職員の行動理念の策定・浸透や目標管理・評価システムの導入など、県庁内の組織文化の変革やプロセス改革を行うとともに、社会経済情勢の変化や危機事案などに対し、柔軟かつ機動的に対応できる組織編成にも取り組んでまいりました。こうした取組を進めてきた結果、様々な成果や変化が現れたものと考えております。

まず、人づくりにつきましては、変化が激しく、不確実性が高まる時代において、自ら課題を発見し、解決する力を育成するため、乳幼児期から社会人までの一貫した人づくりを進めてまいりました。具体的には、「遊び 学び 育つひろしまっ子!」推進プランに基づく乳幼児教育・保育の充実、広島叡智学園中学校・高等学校の開校、叡啓大学の開学をはじめ、児童生徒の主体的な学びを促進する学びの変革の全国に先駆けた実践、社会人では、県立広島大学への経営専門職大学院の設置や、イノベーションリーダー養成塾などにより、経営の核となる人材を輩出してまいりました。

加えて、施策横断的な取組として、中山間地域の人づくり、AI人材の育成などに取り組むことにより、県民一人一人が生涯にわたって自己の能力と可能性を最大限に高める人材育成を進めてまいりました。

次に、仕事づくりにつきましては、本県の強みであるものづくり技術の集積を生かしつつ、社会経済情勢等に対応できるイノベーション立県の実現に向け、基幹産業の競争力の強化や、新たな産業の育成に取り組んでまいりました。具体的には、ものづくり企業が行う新たな技術開発や製品開発への支援、医療関連産業及び環境浄化産業の2つの成長分野における産業クラスターの形成、新たに海外展開に挑戦する企業の後押し、感性工学を活用したものづくりの活性化などに取り組んでまいりました。

また、イノベーション・ハブ・ひろしまCampsや、ひろしまサンドボックスなどを通じたイノベーション・エコシステムの形成を支える企業、人材の集積、ひろしまユニコーン10プロジェクトによる急成長を目指すスタートアップの支援、リスキリングの推進や人的資本経営の実践に向けた取組の後押しなど、イノベーション力の強化や生産性の向上に資する取組を強力に推進してまいりました。

加えて、デジタル系企業や、半導体産業をはじめとした先端・成長分野などへの戦略的な企業誘致や投資誘致を展開してきたことにより、これまで約700件の設備投資を促進し、1万人余りの新規雇用を創出するなど着実な成果につなげております。特に、半導体関連産業につきましては、国や東広島市と連携して、新たな工業用水道や道路などのインフラ整備、中長期的な視点からの半導体関連人材の育成、地域企業とのビジネスマッチングなどに取り組んだことにより、先週、マイクロンが次世代メモリ半導体に約1.5兆円の投資を発表したところであり、エルピーダと統合した2013年以降、約3.7兆円の大規模な投資につながるなど、半導体関連産業が本県産業の柱の一つになりつつあります。

さらに、成長産業の柱の一つとなる観光産業につきましては、平成23年度に海の道構想を掲げ、全国に先駆けて広域観光連携のモデルとなる取組を進め、平成28年度には、その推進組織となるせとうちDMOを設立したほか、就任当初、全国的に認知されていなかった日本一の生産量を誇る広島産レモンのブランド化や国際サイクリング大会の開催を通じたしまなみ海道のブランド化などに取り組み、国内外からの瀬戸内の認知度を大きく向上させることにつなげました。

また、これまで、「おしい!広島県」などの戦略的な観光プロモーションを展開してまいりましたが、今年度からは、「おしい!」から「おいしい!」に、イメージを一気に引き上げるための大型プロモーションを開始しているところでございます。

こうした取組の結果、観光客数は、就任時の5,530万人から、平成29年のピーク時には7,000万人に迫り、観光消費額についても令和6年には、過去最高となる5,918億円となり、平成22年のおよそ2倍と大きく増加したところでございます。

次に、安心な暮らしづくりにつきましては、全ての県民の皆様が、質の高い医療・介護サービスを受けられ、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、切れ目のない医療・介護提供体制の確保に取り組んでまいりました。具体的には、平成27年度に策定した地域医療構想に基づき、限られた医療資源を効率的に活用するため、病床の機能分化に向けた取組を進めるとともに、広島大学や岡山大学と連携した地域枠医師の配置など医療人材の育成・確保に取り組んできたほか、本県医療の未来の中核をなす高度医療・人材育成拠点である新病院につきましては、着実な整備に向け、本年4月に新病院の運営主体となる地方独立行政法人広島県立病院機構を設立したところでございます。

また、地域共生社会の実現に向けて、125日常生活圏域における地域包括ケアシステムを全国に先駆けて構築したほか、身近な場所において妊婦や子育て家庭を見守り、支援する仕組みとして、これも全国に先駆けて、ひろしまネウボラの構築を進め、子育ての安心感の醸成を図ってまいりました。

さらに、安心な暮らしづくりの土台となる道路をはじめとした様々なインフラ整備にも取り組んできたところでございます。その中でも、将来にわたって安全・安心な水を適切な料金で安定供給できる水道システムの構築に向け、令和5年度に県内14市町と水道企業団を設立したところであり、人材の確保や技術継承に課題を有する水道事業の広域連携を着実に進めました。

次に、豊かな地域づくりにつきましては、都市と自然の近接性という本県の地域特性を最大限に生かして、都市圏でも中山間地域でも豊かに暮らすことができるよう、それぞれの多様で魅力的な資源を活用した県全体の発展を牽引する魅力ある都市の形成や自然豊かで分散を生かした中山間地域の形成などに取り組んでまいりました。魅力ある都市の形成に向けましては、ひろしま都心活性化プランに基づき、広島市や広島都心会議をはじめ、様々な主体、関係者としっかりと連携しながら、広島市都心のまちづくりを進めてまいりました。

こうした中で、広島サッカースタジアムの建設、開業により、県内外から多くの人々を呼び込み、町なかへの新たなにぎわいが創出されております。

中山間地域におきましては、デジタル技術などの革新的技術も最大限活用することにより、生活環境の向上や、コミュニティー維持等の取組を行ってきたほか、都市と中山間地域を結ぶ広域ネットワークの構築などに取り組んできたところでございます。

ひろしまブランドの価値向上につきましては、県民の皆様に広島の強みを再認識していただき、誇りにつなげるとともに、国内外からの共感の獲得を目指して取り組んでまいりました。具体的には、ブランドショップTAUにおける情報発信や、戦略的な観光キャンペーンといった首都圏プロモーションなどを通じて、首都圏で取り上げられる本県の話題が広告換算額ベースで、平成23年度から28年度にかけて約40倍に急増するなど、首都圏におけるブランド化につなげてまいりました。

加えて、令和5年5月に開催されたG7広島サミットでは、広島の総力を結集して取り組んだ結果、平和に関するメッセージのみならず、自然や食、文化などの広島の多彩な魅力を世界に発信し、県内への直接的な経済波及効果が約725億円となるなど大きな成果が得られました。

これらを通じて本県への注目度が高まり、ひろしまブランドは大幅に強化され、県民の皆様の誇りにもつながったものと感じております。

平和貢献につきましては、被爆者が高齢化する中、広島が核兵器廃絶のメッセージを発信する国際平和拠点であり続けるとともに、被爆者の願いである核兵器廃絶に向けて、一歩一歩着実に取組を進めてまいりました。具体的には、国際平和拠点ひろしま構想に基づき、非人道性、安全保障、持続可能性の3つのアプローチにより、指導者の被爆地訪問や国際会議の誘致などに取り組んできた結果、オバマ元米国大統領やローマ教皇など、世界のリーダーが広島を訪れたほか、国連や政府が主催する国連軍縮会議、国際賢人会議に加え、G7広島サミットなどが開催されたところでございます。加えて、本年5月には、国内外のトップリーダーが参加するひろしま国際平和&ビジネスフォーラムを開催し、ひろしま宣言を世界に向けて発信いたしました。こうした取組を通じて、国際平和拠点としての広島のプレゼンスを高めたところでございます。

また、ビジョンの注視する指標を見ますと、令和4年度の名目県内総生産は、12兆4,761億円と、平成23年度と比較して10.7%の増、一人当たりの県民所得は327万5,000円と、平成23年度と比較して13.3%の増となるなど、本県の経済情勢についても、一定の成果が得られたと考えております。

加えて、去年と比べた生活の向上感、現在の生活の充実感の県民調査では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、調査を開始した平成27年度からコロナ禍前の令和2年度まで、生活の向上感は約5ポイント、充実感は約16ポイント上昇したところでございます。

これまで、こうしたビジョンに基づく取組を推進してきたことで、先行き不透明な時代におきましても、県民の皆様が夢と希望を持てる経済的基盤を確立し、その豊かさを実感しながら、お一人お一人が安心して、健康に、生きがいを持って暮らすことができる社会の実現に近づくことができたものと認識しております。

他方で、危機事案といたしまして、平成26年8月豪雨、平成30年7月の西日本豪雨など、これまでの想定を超える大規模な災害に見舞われました。

復旧・復興に当たりましては、現場に密着し、応急復旧から生活再建に至るまでのロードマップを地元市町と共に計画立案した上で、着実な遂行につなげるとともに、各避難所をくまなくまわり、被災者の方々の意見に耳を傾けながら、寄り添った復旧・復興に取り組んでまいりました。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大では、手探りの中、エビデンスに基づく対策の必要性を国に訴えかけるなど、国と密に協議しながら、県内あらゆる関係者と連携して、一丸となって危機を乗り越えてまいりました。

しかしながら、議員御指摘のとおり、長引く物価高や米国関税措置の影響など対処すべき足元の諸課題から、人口減少に伴う少子高齢化の進展、若者減少、人手不足など社会全体の構造的な課題まで、引き続き対峙すべき課題がございます。

こうした様々な課題に対しましては、現在、全庁を挙げて対策に取り組んでいるところであり、私の任期が尽きるまで、しっかりと対応してまいりたいと考えているところでございます。

次に、人口減少に対する課題認識と対策についてでございます。

本県の人口につきましては、令和2年度に策定した「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」において、令和6年10月1日時点の人口を274.1万人と推計しておりましたが、合計特殊出生率が予想を上回って低下するなどの要因により、271.7万人となっており、推計を上回るペースで人口減少が進んでおります。

さらに、近年の合計特殊出生率の低下や、子供を産む世代の減少が今後も継続し続けることを踏まえますと、これまで以上の速度で人口減少が加速していくものと認識しております。

人口減少が進行すると、医療・福祉、教育など、一定の人口規模が必要な生活サービスの提供や、公共交通やインフラの維持管理も困難となるほか、人の集積や交流を通じたイノベーションが生まれにくくなるなど、社会・経済活動に深刻な影響を及ぼすと考えられることから、本県にとって最も重要な課題と受け止めております。このため、本県では、今後予想される人口減少は避けられないとの認識の下、県民の希望出生率の実現と社会動態の均衡による人口減少の抑制を目指し、取組を進めております。

まず、県民の希望出生率の実現に向けた対策といたしましては、結婚を希望する人や、子供を持ちたいと希望する人が、安心して結婚、妊娠、出産、子育てができ、また、ライフイベントと両立しながら働き続けることができるよう、若者の結婚への希望の後押しや、不妊検査や不妊治療に対する助成、妊娠期からの見守り、支援の充実、働きながら子育てしやすい環境づくりなどに加え、昨年度からは、若者への子育てに対するポジティブなイメージの浸透や、共育ての定着に向けた意識啓発などにも取り組んでいるところでございます。

さらには、長期的に様々な側面で、世帯所得が大幅に減少あるいは低迷する中、希望の子供数を持てない理由として最多となっている経済的な負担感の解消に向けて、労働生産性の向上による収益増加や、女性のL字カーブの解消などによる世帯所得の向上に向けた取組をより一層加速させ、子育て世帯の経済的基盤の安定に取り組む必要がございます。

また、女性のL字カーブの解消を実現して、世帯所得の向上を図るためには、家庭内において家事・育児が女性に偏らないよう男性の長時間労働を是正するなどの取組に加えて、家庭内の仕事分担率についての改善を図る、いわゆる家庭内の男性活躍を促進することが重要であります。

また、社会動態の均衡に向けた対策といたしましては、昨年度実施した若年層の社会減少要因調査分析の結果を踏まえ、県内企業や大学等の認知向上の後押し、魅力的な産業の集積や職場環境の整備の支援、地域の魅力及び暮らしやすさの向上を柱とした若者減少対策を進めるとともに、この対策の効果を最大化するため、広島に対するポジティブなイメージを高め、浸透させる取組と併せて、県と市町が連携して事業構築する県・市町一体型プロジェクトに取り組んでいるところでございます。

また、現在、進めております「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」の改定におきましても、予測を上回るペースで進む人口減少を最も大きな社会経済情勢の変化と捉え、ビジョンの折り返し後の5年間においては、人口減少の抑制と持続可能な地域社会や経済成長の実現に向けた取組を加速させていくこととしております。

引き続き、県民の皆様の子供を持ちたいという希望の実現の後押しや若者の定着・回帰に向けた取組など「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる様々な取組を強力に推し進めることで、人口減少を抑制し、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県を実現してまいります。

次に、高度医療人材育成拠点基本構想に係る基本計画の見直し等についての御質問でございます。

このたび、お示ししております高度医療・人材育成拠点基本計画の変更案につきましては、医療を取り巻く状況が大きく変化する中、新病院の果たすべき役割を損なうことなく、持続可能な病院経営の実現に向け必要な見直しを行うものでございます。

必要病床数につきましては、令和5年9月の基本計画策定時は、1,000床と見込んだところですが、その後、令和6年に国において、診療報酬改定で急性期医療に関する要件が見直されるとともに、新たな地域医療構想に関して、これまで急性期とされていた高齢者救急等が新たに包括期と位置づけられることが示されるなど、急性期医療に関する政策の見直しがあったことから、これらを踏まえて病床数の再検討を行ったところでございます。

将来にわたり持続可能な病院運営を行うためにも、国の医療政策の動向を踏まえた病床数の見直しは必要な対応と考えており、今回の見直しによって、より急性期医療に特化し、新病院でしか担えない領域に資源を集中することが可能となるものでございます。

例えば、手術室について、最新の大型医療機器に対応可能となるよう面積を拡大したり、感染対策のための陰圧機能を備えた手術室を増やすこと、感染症領域について、ゾーニング可能な病棟や陰圧対応可能な病室に加えて、新たに感染症病床を設置すること、さらに、県立がんセンターとしての役割を充実させる観点から、緩和ケア病棟を設置し、県内で不足する専門人材の育成を行うことなど、今回の見直しにより、新病院の医療機能の一層の強化が図られているところであります。

加えて、国から新たに示された急性期拠点機能を担える医療機関として、1,000床規模への拡張性を確保することとしており、柔軟な対応が可能となる点も新病院の強みになると考えております。

また、新病院における医療人材の育成につきましては、魅力的で充実した研修プログラムや指導体制があることが人材を引きつける大きな要因であると考えていることから、様々な領域の専門医等の資格取得が可能となる十分な症例の集積と指導体制の確保、都市部から中山間、島嶼部まで幅広く経験し、医師として成長できる機会の確保、多様な働き方を選択できる制度等の整備など、ソフト面においても魅力的な環境の整備を図ってまいります。

建築費高騰への対応といたしましては、基本計画公表時には医療提供施設を全て新築とする方が費用面で優位性があったものの、その後建築費が高騰したことで、改築とする方が初期費用及び総費用を抑えられる見込みとなったことから、県立二葉の里病院の建物を医療提供用の施設として活用することに改め、収支計画についても、改めて外部専門家の助言も得て再検討し、資金が維持できると判断されたことから、今回の見直しに至ったものでございます。

本年4月から経営体制を抜本的に見直す中で発足した県立病院機構とも引き続き、密に連携しながら、新病院開院までの間にも健全な病院経営に努めてまいります。

また、跡地活用につきましては、現在、令和5年9月にお示しした方向性を踏まえ、地域を支えるための医療提供体制の在り方やその整備方策について検討を進めている段階であり、全国の先進事例の調査と並行し、医療関係者や民間事業者等との対話を重ねております。県といたしましても、地域住民の皆様の気持ちにも寄り添いながら最善を尽くしたいと考えており、考え得るあらゆる選択肢について検討し、引き続き、跡地活用の構想の具体化に向けて速やかに各種調整を進めてまいります。

次に、米国の関税措置を踏まえたものづくり産業への支援の在り方についてお答え申し上げます。

このたびの米国の関税措置につきましては、県内企業や県経済に対して大きな影響を及ぼす可能性があると認識しており、とりわけ、本県の基幹産業である自動車産業においては米国への輸出割合が高いことから、県内自動車メーカーや関連するサプライヤー企業をはじめとした県内ものづくり産業への影響が懸念されるところでございます。このため、本年4月当初、米国が相互関税措置を発表した後、速やかに、県内企業の相談に応じるための相談窓口を開設するとともに、緊急経営基盤強化資金などの県費預託融資制度により資金繰りニーズに備えることに加え、中小企業支援機関等の情報連絡会議などを通じて、県内企業への影響の把握に着手したところでございます。

また、全国知事会等と連携し、米国に対して関税措置の見直しを粘り強く求めるよう、国に要請するとともに、関税措置の影響を強く受ける自動車関連産業等への支援を機動的に行えるよう、6月には、議長と共に石破内閣総理大臣に対して、積極的な財政措置の検討を要望したところでございます。

さらに、8月からは、県費預託融資制度の要件新設による資金繰り支援といった対策を講じるとともに、企業ヒアリング等でニーズの高かった海外向けの商品開発や販売促進等の支援、生産性の向上などを目的とした設備投資支援について、今次定例会に提出している補正予算に計上したところでございます。

加えて、本県においては、このたびの関税措置のような経営環境が大きく変化する不透明な状況においても、県内企業が新しい状況に対応できるよう競争力を強化していくための、カーボンニュートラルなどの新たな付加価値創出のための研究開発支援や企業や商品の知名度を向上させるブランディング支援、デジタル技術により企業内でビジネス変革を牽引できる中核的人材の育成などの取組を実施してきたところでございます。

今後につきましては、引き続き関係機関と連携しながら、県内企業へ与える影響を見極めた上で既存施策の磨き上げを図るとともに、県内企業のさらなる競争力強化に資する支援策も視野に入れながらスピード感を持って適切に対応していくことで、県内ものづくり産業におけるサプライチェーンの維持にしっかりと取り組んでまいります。

次に、労働力人口の減少を補完するAIなどのデジタル技術の活用についてお答え申し上げます。

人口減少や少子高齢化に伴う労働力不足などの社会課題が深刻化する中、AIなどのデジタル技術の活用によるDXの潮流は、産業構造や働き方、暮らし方などに大きな変革をもたらし、業務効率化や省人化を通じて、今後も減少が見込まれる労働力の補完につながるものであると認識しております。

このため、県といたしましては、AI、IoT、ロボット化などの設備投資に対する支援や、社内業務全体の最適化などを推進するDX事業計画の策定支援などに取り組むとともに、今年度から新たに、省力・自動化システムの導入などの生産工程の最適化に向けたDX支援を行っているところでございます。

また、AIなどのデジタル技術の進化への対峙につきましては、あらゆる施策に積極的に取り入れることを通じて、社会をより便利で豊かに変える可能性があることから、戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。特にAI技術は、すさまじいスピードで進化しており、その可能性は計り知れないことから、昨年9月に「AIで未来を切り開く」ことを宣言し、全国に先駆けて様々な場面でAIを積極的に活用する取組を進めております。具体的には、AI開発者と県内企業等の協業によるAIを活用した新たなソリューション開発を支援するひろしまAIサンドボックスでは、今年度、260件を超える課題、アイデアの中から、20件を採択し、開発・実証の支援を進めているところでございます。

また、産学官が連携して高校生がAIを理解し、活用する力を身につける機会を提供するひろしまAI部では、目標を上回る40校が参加し、実社会におけるAIやデータの活用実態を学ぶとともに、企業と新たなAIの活用可能性を探求しております。

さらに、広島AIラボでは、先月実施した県民アンケートにおいて、膨大なテキストデータを迅速に分析し、分かりやすく可視化するAI技術を活用したブロードリスニングを導入し、県民の皆様から頂いた御意見を募集期間中にも途中段階で公開するなど、新たにAI技術の実装につなげたところでございます。

一方で、行政においてこうしたAIなどのデジタル技術を積極的に活用するためには、デジタル技術の最新動向に応じてリスクに対する適切な対応を行う必要があり、例えばAIの学習データとして個人情報を参照しない技術的な対策や今後、個人情報を参照することになった場合のガイドラインの策定など、県民の皆様が信頼できる利活用環境を整備することが重要であると考えております。

県といたしましては、人口減少社会における子育て、教育、医療・介護、防災・減災、産業、まちづくりなど山積する各種課題に対してAIなどデジタル技術を徹底的に活用しながら解決を図ることにより、県民の暮らしをより便利で豊かなものに変え、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョン」に掲げる目指す姿の実現に向けて、取り組んでまいる所存でございます。

その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。

◯商工労働局長(梅田泰生君) 私からは、2つの質問にお答えいたします。

まず、賃金と物価の好循環と持続可能な経営の両立に向けた中小企業への支援についてでございます。

このたび、最低賃金が過去最大の引上げ幅となったことは、賃金と物価の好循環の実現につながると期待されるものではございますが、県内中小企業を対象に、経済団体が実施した最近の調査によりますと、経営上の重要な課題として人件費の増大を挙げる企業が4割を超え、最も多くなっている中で、県内中小企業にとって今後ますます厳しい経営状況となりかねないものと懸念しております。こうした中、県内中小企業の経営環境を改善し持続可能な経営につなげていくためには、賃上げ原資の確保に向けた適切な価格転嫁の促進と、生産性向上の両輪による収益力の強化が重要であると考えております。

このため、適切な価格転嫁の促進に向けましては、引き続きパートナーシップ構築宣言の普及啓発に取り組むとともに、今年度は新たに受注側企業を対象とした価格協議の実効性を確保するためのワークショップの開催のほか、来年1月に施行される中小受託取引適正化法などの周知徹底や、消費者への啓発など、社会全体で価格転嫁を受け入れる機運醸成について全国知事会を通じた国への要望に取り組んでいるところでございます。

また、県内中小企業の生産性向上に向けましては、これまで国の業務改善助成金等を活用して持続的な賃上げに取り組む事業者への支援をはじめ、AI、IoT、ロボット化などの設備投資支援やリスキリングなど人材への積極的な投資を行う人的資本経営の促進に取り組むとともに、今年度からは専門家チームによる生産工程のDX推進に向けた伴走支援などの取組も進めているところでございます。

今後とも、経済団体等と連携して、こうした取組を着実に進めることと併せて、アンケート調査やヒアリングを通じて県内中小企業の経営状況をしっかりと把握した上で、必要に応じてさらなる支援策をスピード感を持って講じることにより、賃金と物価の好循環を実現するとともに、県内中小企業の持続的な成長につなげてまいります。

次に、外国人材の受入れ促進について、複数部局にまたがる質問ですが、私が代表してお答えいたします。

本県における外国人労働者は、令和6年10月末時点で4万8,000人を超えるなど、その数は年々増加しているものの、地域間での人材獲得競争は激化しており、今後、本県が外国人労働者に選ばれるためには、外国人労働者が、地域に溶け込み、安心して生活できる環境を整備することが重要であると考えております。

とりわけ、外国人労働者と地域住民の双方が安心して暮らすためには、お互いの文化や慣習等の違いを理解し、交流を通じて、外国人労働者が、県民の一員として共に安心して生活できる地域づくりを進めることが必要であると考えております。このため、本県におきましては、市町や関係機関と連携して、外国人労働者が地域とのつながりを持ちながら、日本の文化や慣習、ルール等の生活に必要な情報を共有できる仕組みづくりに取り組んでおります。具体的には、外国人住民と地域住民を橋渡しする人材の発掘及び育成、地域コミュニティー拠点としての地域日本語教室の拡充に加え、今年度から外国人コミュニティーが地域とつながるための活動に対する支援を進めているところでございます。

また、就労面におきましては、育成就労制度での転籍要件の緩和による人材流出が懸念されることから、県内企業の外国人労働者定着に向けた支援を一層強化するため、受入れ企業への制度や取組好事例に関するセミナーの実施や動画による情報発信、育成就労制度を見据えた日本語学習支援、外国人雇用に関する相談窓口の設置、外国人の住宅確保に向けた支援などの取組を進めているところでございます。

今後とも、こうした取組をより強力に推し進め、外国人労働者と地域住民の相互理解と信頼関係の下、共生社会を構築し、双方が安心して暮らし、活躍できる環境を整備することで、外国人労働者から選ばれる広島県を実現してまいります。

本文の著作権は広島県に帰属します。著作権法上の引用および公共データ利用規約に基づき掲載しています。要約はAIにより生成したものであり、正確な内容は出典元の議事録をご確認ください。


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