僕が理事長をつとめるNPOの事務所がある新宿区は、2026年6月1日時点で、外国人(ここでは外国籍の人としよう)の人口が約51,000人にのぼる。人口比でいえば、14.5%。つまり、7人に1人が外国人である。1区が主催する成人のお祝いである「はたちの集い」には多くの外国人、そして、日本国籍であるが外国にルーツをもつ若者たちが参加する。国籍ベースでいえば、新宿区は20歳の人の4割が外国人であるそうだ。2
出身国はさまざまだ。中国籍の人が約2万人、韓国籍が約9000人と多く、その次に、ネパール、ミャンマー、ベトナム、台湾と、アジアの国々が続く。新宿区内には130をこえる国からきた人たちが住んでいる。
どの駅にも「ガチ中華」と呼ばれる本格的な中華料理をだす飲食店があり、新大久保には「イケメン通り」と呼ばれる、かつて(今も?)は「韓流」、最近ではK-POPアイドルの聖地がある。高田馬場には「リトルヤンゴン」があり、日本に何十年も住んでいる店主との会話に花が咲く。
そう、すでに、私たちはともに生きている。
政策においては、「外国人との共生」という言葉が使われる。しかし、この言葉には違和感がある。なぜなら、この街では、僕たちはすでに「ともに生きている」からである。
特にこのところは、「秩序ある共生」という言葉が政治的に使われる。
近所のコンビニでは、ネパールとバングラデシュから来た若者が働いている。彼らはとても勤勉だ。「秩序」とは何だろうか。
もちろん、日々の暮らしのなかでのさまざまなトラブルは発生する。ゴミ出しのルールをわかっていない、アパートの部屋で遅くまで何人かで騒いでいる、学校に提出物を出さない……。ルールややり方がわからないなら、教えればいい。ご近所さんなんだから、本当にそれだけだ。
いま、日本では政府の調査(内閣府「人々のつながりに関する基礎調査」3)によると、約4割の人が一定程度以上の「孤独」を抱え、同時に、約4割の人が「孤立」しているとみられる状況であるそうだ。日本社会では「孤独」と「孤立」が進んでいる。
一人で暮らす人が増え、身近な人も少なく、近所に住んでいる人との交流も乏しいのだ。
知らない人は何となく怖い。すれ違うときに不安になる。話したことがないとその人が何を考えているかわからない。それは、外国人だろうが日本人だろうが同じだ。
私たちの社会は、「孤独」や「孤立」が蔓延している。まずは、お互いを知り合うことから始めよう。もうすでに、ともに生きているのだから。
- 新宿区 住民基本台帳人口 外国人住民国籍別男女別人口 https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/file02_00029.html ↩︎
- 新宿区 住民基本台帳人口 町丁別男女別人口(1歳階級)https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/file02_00027.html ↩︎
- 内閣府 孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年人々のつながりに関する基礎調査)https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r7.html ↩︎
大西 連
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長
内閣府孤独・孤立対策推進参与
1987年東京生まれ。新宿での炊き出し・夜回りなどのホームレス支援活動をスタートに、主に生活困窮された方への相談支援に携わる。また、生活保護や社会保障削減などの問題に現場からの声を発信し、政策提言を行う。主著に『すぐそばにある貧困」』(2015年ポプラ社)。














